大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 平成3年(特わ)2330号 判決 1992年5月26日

本店所在地

東京都渋谷区広尾一丁目三番一四号葉山ビル

ユニオン通信株式会社

右代表者の住居

東京都練馬区旭町二丁目一〇番一〇号

(右代表者代表取締役 岡崎利春)

本籍

神奈川県相模原市中央六丁目八番

住居

東京都狛江市岩戸南四丁目二四番七号

会社役員

今野謙一

昭和二六年九月二五日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官立澤正人、弁護人津川哲郎各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社ユニオン通信株式会社を罰金五、五〇〇万円に、被告人今野謙一を懲役一年六月にそれぞれ処する。

被告人今野謙一に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社ユニオン通信株式会社(以下、被告会社という)は、東京都渋谷区広尾一丁目三番一四号葉山ビルに本店を置き、美容関係の商品の通信販売などを目的とする資本金三、五〇〇万円(平成二年三月一九日以前は資本金一、〇〇〇万円)の株式会社であり、被告人今野謙一は、平成元年一一月三〇日まで被告会社の代表取締役として、その後は被告会社の取締役として、被告会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人今野謙一は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和六一年一二月一日から同六二年一一月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億三、四三一万五、三五五円(別紙一の1修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、同六三年一月二八日、東京都渋谷区宇田川町一番三号所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一、九九三万九、九七九円で、これに対する法人税額が七三二万七、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額五、五三六万五、〇〇〇円と右申告税額との差額四、八〇三万七、九〇〇円(別紙二の1脱税額計算書のとおり)を免れ

第二  昭和六二年一二月一日から同六三年一一月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億五、四〇九万九、五〇〇円(別紙一の2修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、平成元年一月二七日、東京都目黒区東山三丁目二四番一三号所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、その欠損金額が三、三三四万三、六〇四円で、納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億五七六万一、五〇〇円(別紙二の2脱税額計算書のとおり)を免れ

第三  昭和六三年一二月一日から平成元年一一月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三億一、七四七万一、四七三円(別紙一の3修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、同二年一月三一日、前記渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が、一億一、五〇一万五、九九六円で、これに対する法人税額が四、七一二万四、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億三、二一五万五、八〇〇円と右申告税額との差額八、五〇三万一、五〇〇円(別紙二の3脱税額計算書のとおり)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人今野謙一の当公判廷における供述

一  被告人今野謙一の検察官に対する各供述調書

一  被告会社代表者岡崎利春の検察官に対する供述調書

一  岩本真紀、稲積早苗、石原宏の検察官に対する各供述調書

一  熊田哲美の大蔵事務官に対する供述調書

一  大蔵事務官作成の売上高調査書(検甲一)

一  大蔵事務官作成の仕入高調査書(検甲三)

一  大蔵事務官作成の運賃調査書(検甲六)

一  大蔵事務官作成の支払手数料調査書(検甲一一)

一  大蔵事務官作成の事業税認定損調査書(検甲一二)

一  大蔵事務官作成の受取利息調査書(検甲一三)

一  検察事務官作成の報告書(検甲三二)

一  登記官作成の各登記簿謄本(検乙五ないし七)

判示第一、第三の各事実につき

一  豊原孝則の検察官に対する供述調書

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の期末商品棚卸高調査書(検甲四)

一  大蔵事務官作成の旅費交通費調査書(検甲七)

一  大蔵事務官作成の通信費調査書(検甲八)

一  大蔵事務官作成の消耗品費調査書(検甲九)

一  大蔵事務官作成の事務用品費調査書(検甲一〇)

一  押収してある法人税確定申告書(六二・一一期)一袋(平成四年押第二六五号の1)

判示第二、第三の各事実につき

一  神嶋保治の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官作成の損金算入地方税利子割高調査書(検甲一六)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の期首商品棚卸高調査書(検甲二)

一  大蔵事務官作成の申告欠損金調査書(検甲一七)

一  押収してある法人税確定申告書(六三・一一期)一袋(前同押号の2)

判示第三の事実につき

一  佐藤紀光の検察官に対する供述調書

一  浅田健の大蔵事務官に対する供述調書

一  大蔵事務官作成の広告宣伝費調査書(検甲五)

一  大蔵事務官作成の収益分配金調査書(検甲一四)

一  大蔵事務官作成の開発費償却損調査書(検甲一五)

一  押収してある法人税確定申告書(元・一一期)一袋(前同押号の3)

(法令の適用)

被告人今野謙一の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に、被告人今野謙一の判示各所為は、いずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから被告会社につきいずれも同法一六四条一項、一五九条一項に該当するところ、被告人今野謙一につき各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告会社につきいずれも情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人今野謙一につき同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、被告会社につき同法四八条二項により各罪所定の罰金を合算し、被告人今野謙一につき加重した刑期の、被告会社につき合算した金額の各範囲内で被告人今野謙一を懲役一年六月に、被告会社を罰金五、五〇〇万円にそれぞれ処し、被告人今野謙一に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

よって、主文のとおり判決する。

(求刑・被告会社に対し罰金七、〇〇〇万円、被告人今野謙一に対し懲役一年六月)

(裁判官 伊藤正髙)

別紙一の1

修正損益計算書

自 昭和61年12月1日

至 昭和62年11月30日

<省略>

別紙一の2

修正損益計算書

自 昭和62年12月1日

至 昭和63年11月30日

<省略>

別紙一の3

修正損益計算書

自 昭和63年12月1日

至 平成元年11月30日

<省略>

別紙二の1

脱税額計算書

自 昭和61年12月1日

至 昭和62年11月30日

<省略>

別紙二の2

自 昭和62年12月1日

至 昭和63年11月30日

<省略>

別紙二の3

脱税額計算書

自 昭和63年12月1日

至 平成元年11月30日

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例